浪人生のアルバイトは夏までならOK?講師の経験から説明します

予備校に勤務していた時、毎年のように持ち掛けられた相談があります。

「アルバイトをしてもいいですか?」という相談です。

その質問の背景には個々人のさまざまな事情がありました。

経済的に苦しいので家計を助けたい。

友人や知人から短期間でいいからアルバイトをしてくれないかと頼まれた。

大学生の友人たちに誘われた。

少しでも自分の自由になるお金が欲しい。

いろいろな相談を受けましたが、私の答えはいつも同じでした。

「アルバイトはダメだとは言わないが、夏までにしておけ」と。

今回は、浪人生がアルバイトをすることのメリット・デメリットを考えながら、元予備校講師としてアドバイスします。

1.アルバイトをするメリット

(1)収入を得られること

アルバイトをする最大のメリットは収入を得られることです。

月に数万単位で自由に使えるお金が増えることで、行動の自由度を増やすことができるでしょう。

そして、社会へ貢献しているという実感を得ることもできます。

 

(2)やりがいを感じる

アルバイトをする中で、仕事の面白みを感じてやりがいを得られることもメリットの一つでしょう。

特に、バイトリーダーなどを任されるとやりがいはさらに増すことでしょう。

そして一方、勉強のに集中する時間は減っていくことでしょう。

 

(3)息抜き・楽しさを得られる

予備校生の基本は受験勉強です。

常日頃から勉強漬けになりがちなのです。

たまには環境をかえて息抜きをすることも有効な手段です。

また、アルバイトでいろいろな人と接することで楽しさや充実感を得られるかもしれません。

良い気分転換ともなるでしょう。

 

2.アルバイトをするデメリット

(1)勉強時間が減少する

アルバイトに時間を費やせば、当然、勉強時間が減少します。

第一志望校に合格するために浪人すると選択したはずなのに、アルバイトで時間を使ってしまっては本末転倒です。

 

(2)シフト調整が難しい

アルバイトでよく聞くのが、「ほかの人が休むので代わりに出てほしい」といったシフト変更です。

最初は週1日・2日といった約束だったものが、3日になり、4日になり、気がついたら毎日のシフトになっていた。

そんな話は珍しいことではありません。

自分よりも年上の社会人に「頼む」と言われたら、まだ若い浪人生が断るのは容易ではありません。

 

(3)生活リズムが崩れる

アルバイトで時間を使うようになると、勉強時間の確保が難しくなります。

多くの学生は、睡眠時間を削って何とか対処しようとします。

これが間違いのもとです。

睡眠時間の減少は体調の悪化と集中力の低下をもたらします。

授業の関係上、浪人生のアルバイトは夕方から夜のかけてです。

そうすると、朝の遅刻や授業中の居眠りが目に付くようです。

生活のリズムがいつのまにかアルバイト中心になってしまいます。

そうなれば、何のために浪人したのかということになりかねません。

 

(4)アルバイトをすることに対する周囲の理解を得にくい

今度は、皆さんを予備校に入校させた保護者の立場に立って考えましょう。

予備校の学費は大学ほどではなくても十分に高額であることが多いです。

それだけの大金を費やしたのに、学業がおぼつかずアルバイトに時間を費やす。

はたして、理解が得られるでしょうか?

中には、自分の小遣いは自分で稼げとアルバイトを進める家庭もありますが、大半の保護者からはアルバイトをしている暇があったら勉強しろという声を聴きました。

以上のことから、メリットよりもデメリットの方が多いというのが私の考えです。

 

3.それでもアルバイトをしたい浪人生のために

浪人生にとってアルバイトをすることはメリットよりもデメリットが多いです。

しかし、さまざまな理由でアルバイトをせざるを得ない人もいるでしょう。

そんな時はどうすればよいでしょうか。

 

(1)アルバイトの期限を夏休みまで決める

アルバイトは夏休みまでと期限を決めてしまうのがおすすめです。

というのも、大学受験全体を考えた時、4月から8月までは復習に時間をとることが多く、勉強時間の調整もしやすいからです。

秋(9月)以降はどうでしょうか。

毎週のように模擬試験が繰り返され、試験結果によって弱点補強をするのには時間がいくらあっても足りません。

そんな時までアルバイトをしていては本末転倒になってしまいます。

ですので、アルバイトは夏休みまでというのが私の考えです。

 

(2)アルバイトをしていた浪人生の実例

私が講師時代に担当していた学生で、家庭の事情からアルバイトをせざるを得ない人がいました。

明るく社交的な性格で接客業の適性もありました。

彼が選んだアルバイト先は飲食店。

もっともシフトが厳しいアルバイトの一つです。

案の定、初めて1か月くらいで授業中の集中力低下がみられました。

 

夏休みに入るころにそれがピークに達し、ついには無断欠席も目立つようになったので面談をしました。

そして、彼に「アルバイトは夏休みまでにし、秋以降は受験に専念したらどうだろうか」と提案しました。

彼はその場では考え込んでいましたが、1週間後に「アルバイトは夏休みまでにする。今日、バイト先に言ってきた」と話していました。

秋以降の彼の集中力は素晴らしいものがありました。

ほかの学生よりも出遅れているという自覚もあったのでしょう。

結果、成績は急上昇し春には第一志望校に合格することができました。

 

アルバイト=悪ではありません。

しかし、アルバイトに引きずられすぎると浪人生としての本分を見失ってしまいます。

アルバイトをするときは期限を決め、学習に影響が出ないように上手にコントロールをしましょう。